トランプはなぜ勝利したのか?①
日米のマスメディアが報じない、アメリカの現状とは?そして日本は……。
あらためて、トランプ台頭を振り返る!!
倉山満によるアメリカ大統領『トランはなぜ台頭したのか』 泡沫候補だったトランプが大統領にまでなりあがったアメリカの現状!そして日本は…シリーズ①
そもそも覇権国家として失敗続きのアメリカ、文化も失われ続けているアメリカ!
評論家の江崎道朗先生が仰っているように、ハーバート・フーバー以降、アメリカの保守派が国内で負け続けてきました。
その結果、フランクリン・ローズベルトから現在に至るまで、アメリカは覇権国家として失敗し続けているのです。
アメリカは第2次世界大戦後に覇権国家として、さらにソ連崩壊後は、一強と言われる中で、世界支配と秩序の維持を行う立場なのに、振り返ってみると、絶頂期の大英帝国並みに国際秩序を引き締めることができた大統領はアイゼンハワー一人ぐらいなものです。
アメリカが賢かったら世界はこんなに混乱していません。
レーガンは確かに内政を犠牲にしてまでソ連を崩壊させ、冷戦に勝利しましたが、そのようなことをやらなくてはいけなかった時点で、覇権国家としては無能だった証拠です。
さらに、とどめを刺したのは湾岸戦争です。
その後、ビル・クリントンがハチャメチャをやって、ブッシュ二世はその後処理が9・11テロ、アフガン、イラクと続きます。しかも、イラク戦争というのは初代ブッシュのトラウマがあり、開戦した瞬間に目的を限定できなくなるから、泥沼化するのは目に見えていたわけです。
それに加えて、PC(政治的に正しい言動の強制)の行き過ぎで文化が失われ、アメリカ社会は自らのアイデンティティに自信を失いつつあります。
経済的にも中間層が消えて格差が拡大しています。
これでは、社会を主導するエスタブリッシュメントに対する不信感が募るのは当然のことでしょう。
そこへ、「エスタブリッシュメントに騙されるな」「アメリカの国益第一」「再びアメリカを偉大な国にする」という主張を掲げたトランプが現れたのです。
しかも、トランプの政策作りには、共和党の保守本流からもブレーンがついています。 アメリカの保守派にとって、ロナルド・レーガン以来久々の本格候補であり、本気で巻き返しを図っているということなのです。
日本では、いちいち名前は挙げませんが、それなりにアメリカ通を自認している論客までがマルコ・ルビオが本命と言っていました。
しかし、江崎道朗先生によれば、2年前ならばともかく、現在のルビオは大統領選出馬のためにウォール街に魂を売って中国と妥協したとみなされており、決して支持を集めてはいませんでした。
ヒラリーと同じ穴のムジナなので、いわゆる、支配階級であるエスタブリッシュメントと政治家の癒着に腹を立てているアメリカ国民にそっぽを向かれ、案の定、早々に指名候補争いから脱落しました。
ウォール街にも中国にも怯ひるまずに立ち向かって伝統的なアメリカの価値観と国益を主張できる政治家がどれほど求められていたのか、我が国の論客の皆さんはそこを見抜くことができなかったということです。